地震から美術品を守る対策強化

毎日JPより

県内美術館:揺れから作品守れ! 釣り糸で固定、免震台導入 /栃木
 ◇震災でコレクション破損、被害数千万円
 東日本大震災以降、県内の美術館では耐震対策の取り組みが広がっている。県立美術館(宇都宮市)は、地震の揺れから作品を守る免震台を新たに導入。益子参考館(益子町)も作品のほとんどを釣り糸で固定するなど、耐震対策に余念がない。【中村藍】

 県立美術館は個人から寄贈、寄託されたマイセン磁器113点を常設展示していた。マイセンは18世紀初頭に西洋で最初の磁器として生まれた。同美術館は初期の作品も所有する。しかし、大震災でコレクションの一部が倒れるなどで破損。余震も続いたため、展示室は閉鎖され、今月23日にようやく再開した。

 同美術館は4年前に耐震補強工事を終了。しかし、揺れから作品を守る設備は予算の関係で十分ではなかった。そこで、今回の展示再開にあわせて、地震の揺れを吸収して作品の転倒を防ぐ免震台(縦横40~50センチ)を購入。同じく常設展に含まれる益子焼用とあわせて計23台をそろえた。

 1台約40万円と高価だが、小勝禮子学芸課長は「マイセンや益子焼は非常に重要な栃木県の文化資産。作品を守るために必要な投資」と説明する。

 また、小さな作品は、両面テープを裏に貼り付け、下に敷いたアクリル板に固定。地震前に展示していたシャンデリアや鏡は現在、展示を見合わせているという。

 一方、益子参考館では、大震災によって収蔵作品約3000点の1割にあたる約300点が破損した。人間国宝、濱田庄司の作品で町文化財に指定されている大皿が割れたほか、中国宋時代の壺や16世紀の朝鮮の白磁、バーナード・リーチ作の花瓶も破損するなど被害は数千万円に達するという。

 同館はゴールデンウイーク前の4月末から開館したが、作品のほとんどを釣り糸で固定した。花瓶類はビニール袋に砂を詰めたものを中に入れ、重心が下がるよう工夫したという。

 濱田友緒副館長は「できるだけ固定して展示するよう心がけた。少しの工夫で作品を地震から守ることができれば」と話している。

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毎日新聞 2011年7月30日 地方版

http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20110730ddlk09040134000c.html

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