被災者を対象とした高速道路無料の恩恵を受けるために、料金所を先頭にした渋滞が深刻化しているようです。
県内でも、那須地域の被災者は、東京方面でも白河まで行ってから東北道に乗るとか。
市町村によって、被災証明書の発行基準が異なり、なかには被災の有無にかかわらず、震災当日に居住の事実があった人全員に被災証明書を発送している自治体も。
読売オンラインより
『高速の被災者無料化、料金所渋滞で通過1時間も』
高速道路の無料化措置で、混雑が続く料金所の一般レーン(17日午後、東北道仙台宮城ICで)=菅野靖撮影
東日本大震災の被災者を対象にした東北地方などの高速道路無料化で、料金所の渋滞が深刻化している。
利用者は一般レーンで被災・罹災証明書などを提示しなければならず、その確認に手間取るためだ。料金所通過に1時間かかるケースもあり、男性トラック運転手(33)は「高速の意味がない」といら立ちを隠さない。
3連休中日の17日には東北道の仙台南インターチェンジの料金所を起点に3・7キロの渋滞が起きた。東日本高速道路によると、6月20日の無料化以降、岩手、宮城、福島3県の高速道路の通行量は1割増えた。以前は8割がETCレーンを利用していたが、無料化後は一般レーンが7割と逆転した。
高速バスの到着が最大1時間遅れるなどの影響も出ている。福島市から仙台市の専門学校に通う男性(26)は「20分早いバスに乗らなければならない」と不満を漏らした。
(2011年7月17日21時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110717-OYT1T00547.htm?from=tw
yahooニュースより
『一時停電、断水でも…全住民対象? 「被災証明書」ドミノ式乱発』
産経新聞 7月9日(土)7時59分配信
拡大写真
被災者らの無料通行が始まった仙台南部道路の長町インターチェンジ。被災証明書などの提示を求める一般レーンは混雑した=20日午後、仙台市太白区(大西史朗撮影)(写真:産経新聞)
東日本大震災の被災者に発行される「被災証明書」の対象範囲が、拡大の一途をたどっている。統一した発行基準がないため「停電」や「断水」も被災ととらえる自治体が続出しているのだ。東北地方の高速道路無料化が、証明書所持を条件としていることなどが発行ニーズを高めているようだ。発行基準を示さず、自治体任せにした国への批判の声も上がる。(原川真太郎)
「事務手続きが大変。最近は少し落ち着いてきたが…」。震災直後に全域で断水や停電となった水戸市の被災証明書発行窓口の担当者の言葉だ。
水戸市では全住民を対象に被災証明書を発行している。6月20日から始まった東北地方の高速道路無料化を意識した措置だった。
6月9日の発行開始以降、連日長蛇の列ができ、当初は1時間待ちもざらだった。現在も1日に約1500人が窓口を訪れており、発行数は約8万人分以上にのぼっている。
高速道の無料化適用エリアは、常磐道の水戸インターチェンジ以北と東北地方の高速道路20路線。利用するには身分証明書と合わせて市町村が発行する「被災証明書」か「罹災(りさい)証明書」を料金所で提示する。
「罹災証明書」が住民の申請に基づき市町村が家屋の破損状況などを調査して発行されるのに対し、「被災証明書」の発行は各自治体の判断に任されている。
このため水戸市に限らず多くの自治体で、震災直後の「停電」や「断水」を理由に全住民に被災証明書を発行しはじめた。
◆無計画な政府
当初は「停電や断水は解消しており、被災といえるのか」といったスタンスをとっていた自治体も、最近になってドミノ式に追従を余儀なくされている。
青森県八戸市では、高速道路無料化開始3日後の6月23日から、震災直後に一時停電した世帯に住む住民に被災証明書の発行を開始した。「他の自治体との不公平感が出てしまうため」としており、すでに約2万人が交付を受けた。
青森市では今月7日から、死者・行方不明者や住居が全半壊した2親等以内の親族がいる市民に被災証明書を発行。同市の担当者は「葬儀や相続などの手続き、避難所への見舞いなどで被災地を訪問したいという市民の方からの要望が相次いだため」と話す。
岩手県ではすでに全市町村で被災証明書が発行されている。
津波による被害がなく、揺れによる被害もほとんどなかった内陸部の自治体担当者は「国が考えなしに始めた施策。現場の事務手続きの負担が増えるだけだ」と打ち明ける。
◆料金所は渋滞
無料で走行できることが高速道路の利用者増につながり、料金所などでは渋滞となるところも出るなど、思わぬ影響も出ている。
青森県は無料化開始から1週間後の6月27日、「みちのく有料道路」(青森市-同県七戸町)と「青森空港有料道路」(青森市)=いずれも県道=で、提示が必要な書類を「罹災証明書」か「罹災届出証明書」に限定した。
「被災証明書」による無料化対象車両が飛躍的に増えてしまい、1カ月当たり1億円以上の減収見込みとなったためだ。県では「無料化は生活再建が必要な被災者を対象に考えていたので、趣旨が違ってしまった」と指摘する。
国土交通省道路局は「停電や断水による被災証明書の発行は正直想定外だった」と話す。大畠章宏国土交通相は「市町村が考えて発行していること」としながらも、「被災地復興を考えて無料化制度を導入したのであり、節度ある形で対応してほしい」と戸惑いを口にしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110709-00000110-san-soci