【報道】余震時の安全確保が困難のため長期休館に 大谷資料館

asahi.comより

『大谷資料館が長期休館 再開時期は未定』
2011年07月06日

地下30メートルに広がる大谷石採掘場跡。古代ローマ遺跡を思わせる幻想的な雰囲気だ=1月29日、宇都宮市大谷町

 宇都宮市の特産「大谷石」の歴史資料や地下の採掘場跡を見ることができる同市大谷町の大谷資料館が、東日本大震災の影響で、少なくとも来春までは休館されることが分かった。1979年の開館以来、最も深刻な事態といい、来春以降の再開時期も未定という。
 朝日新聞の取材に対し、同資料館長の舘野康雄さん(57)が明らかにした。3月11日の地震発生時、地下の採掘場跡には見学者6人がいたが、けが人はなかったという。舘野さんはすぐに現場を確認したが、大きな石の崩落はほとんどなかったという。しかし、余震による地鳴りが「ゴーン」と響き、恐怖感を覚えた。そのため、「見学者が多かったら、パニックを起こし、けがをする可能性がある」と休館を決めた。
 また、今後1年くらいは余震が続くという専門家の話を踏まえ、来春までは再開しないことにしたという。
 同資料館は、大谷石の採掘が機械化されて約25年たったころ、手掘り時代の足跡を残そうと、大谷石採掘業を営んでいた舘野さんの父親が1979年3月11日にオープンした。とりわけ地下30メートルに2万平方メートルの空間が広がる採掘場跡は古代ローマの遺跡を思わせるような幻想的な雰囲気が人気。夏は気温が上がらず、涼をとりに来る人も多い。修学旅行にも利用され、年間の入館者数はピークだった87年ごろで約18万人。ここ数年も年間約10万人が訪れていた。
 また採掘場跡は、音の反響が魅力的で、演奏会や演劇、美術展などにも利用され、宇都宮の芸術の拠点のひとつにもなっている。他にはない風景から、数多くの映画ロケにも活用されている。
 舘野館長は、来春以降の再開時期についても「いまは考えていない」としている。(大津正一)

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