郵便車の整備代金届かず 元請け滞納

asahi.comより

『郵便車の整備代金届かず 元請け滞納、全国に数億円』
郵便車両の整備・保守業務と支払いの流れ

 郵便事業会社から郵便集配用車両の整備・保守業務を委託された元請け会社が、下請けに入った全国のバイク店に代金の一部の支払いを遅らせていることが分かった。その総額は数億円に上るとみられる。バイク店からは「経営に支障が出る」と不安や不満の声が上がり、郵便事業会社も対応に乗り出している。

 日本郵政グループの郵便事業会社が保有するバイクは全国で約9万台、車両は約3万台。整備は外部の車両保守会社に委託され、さらに郵便事業会社の各支店の地元のバイク店や自転車店など全国1千店ほどの「保守店」に下請けに出されている。

 支払いが遅れているのは、受託している車両保守会社「ITカーズ」(東京都千代田区)が8月末に各保守店に支払うはずだった整備代金の一部。複数の保守店によると、本来受け取るべき代金の10%が9月5日に振り込まれ、残る90%が支払われていない。交換用部品やオイルの支給も止まっている。大きな店では月に数百万円の代金が生じるといい、遅延代金の総額は、全国で数億円に上るとみられる。

 約250台のバイクの保守を請け負う関西地方のバイク店主は、約80万円の整備代金を受け取るはずだったが、まだ8万円しか支払われていない。

 8月末に3カ月以内に全額を払うという「おわび」のファクスがITカーズから届いたが、「会社に電話しても全然つながらない。残りはどうなるのだろうか」と心配する。

 中国地方のバイク店主も7月分の約100台分のバイク整備代金約80万円のうち、72万円が未払い。「早く払ってもらわないと、店の経営に影響が出てしまう」と不安そうに話す。交換部品の代金や人件費の一部は立て替えているという。

 朝日新聞の取材に対し、ITカーズの社長や担当役員は「資金調達に際し、悪質な小切手詐欺事件に巻き込まれ、数億円規模の損害が生じた。残りは3カ月以内に支払うことを確約する」などと説明。損害が生じた経緯などは「刑事告訴を前提に弁護士に相談しており、今は詳細を答えられない」としている。

 委託した郵便事業会社にも各保守店から問い合わせが相次いでいる。広報担当者は取材に対してITカーズと契約した経緯や年間の契約額などについては明らかにしていないが、「9月末の支払いからは郵便事業会社から直接、保守店に代金を支払う方向で調整している」と回答した。

 ホームページなどによると、同社は2007年4月創業。社長を含む複数の役員がグループ会社の役員を兼務しており、グループ会社を入れた従業員数は今年3月時点で145人となっている。(高田英、矢崎慶一)

http://www.asahi.com/national/update/0916/TKY201109160247.html

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