東西大通りの連結 2

<ケース2 地上(地平)で東西大通りを連結する。>
在来線のJR宇都宮駅を高架化して、大通りを地上で連結するという方法。

一見簡単そうですが、費用は一番かかります。

1.駅の高架化
JR宇都宮駅の場合、ホームのほかにも留置線が数本あり、始発・終着が多く設定されているほか、団体臨時列車などが折り返し待ちで留置線を使用したりしています。

そういうわけで、ホームは現行(片面×1、両面×2)よりも減らす(両面×2に)ことはできそうですが、留置線はあまり減らせないのではと思います。

これらに加えて、駅の北端には烏山線のディーゼルカーの基地があります。宇都宮駅を高架にする以上、この基地も高架化するなりよそへ移転する必要があります。

基地は宝積寺駅へ移設するのが効率的そうですが、宝積寺駅も東口整備と前後して、留置線の本数を削減しているので、スペース的に厳しいと思います。
ディーゼルカーの場合、基地には留置線(洗浄線)、整備庫のほかに給油設備が必要になります。

平出工業団地の松下の工場跡地などに移転するにしても、用地取得費用はかなりかかるのではないでしょうか。

2.駅舎(改札口とホームへの通路)
在来線を高架化するにあたって、次に問題となるのは、駅舎の位置です。

現行、1Fが在来線と駅舎への出入の階段等(階段下にトイレ、コインロッカー、駅長事務室)、2Fが駅舎、3Fが新幹線となっています。
在来線を高架として、2Fにあげた場合、駅舎(改札口)からホームへ行くには、一旦1Fへ降りてから2Fへ上がるのか、3Fまでのぼってから2Fへ降りるのかのどっちかになります。

階段の上り下りは、バリアフリーという時代の流れに逆行します。
それを解消するために、在来線ホームを新幹線と同じ高さにすると、その分だけ費用もかさみます。
さらに、宇都宮駅のすぐ南で、在来線と新幹線が交差しているので、この部分をクリアする必要があります。

3.駅舎の改築
中央を道路が通る以上、大幅な改築や改修は避けられません。
改築の場合、大穴を開けるわけですから、補強なども必要になってきます。

4.バスターミナル
西口バスターミナルの中央部分が道路となるわけですから、バスターミナルも移転する必要があります。
規模を縮小をして、現在地にするとしても、西口から発着できるのは、みやバス・きぶな等のコミュニティバス、高速バス、1~2路線(清住経由細谷車庫線、済生会病院線等)ぐらいしかできなさそうです。
というわけで、スペース的に余裕ある東口にバスターミナルを新設することになります。
それでも、1Fのみだと厳しいので、2~3F建の建物で、2Fや3Fにもバスが発着するようになるのではと思う。

そして、バスターミナルへの出入をスムーズにするために、西口と東口両方に信号(交差点)を設置するようになるかな。

もっとも、西口は、バスの侵入路を高速バスと同じくすれば、交差点設置は回避できるかな。

5.費用の問題
仮に、このように作るとして、その費用を誰が負担するかです。
LRT並に宇都宮市民くらいしか恩恵を受けれませんから、宇都宮市以外の県民からは同意を得られないでしょう。ほとんどを宇都宮市で負担することになります。(最近の鉄道会社は、新駅を作るにしても、かなりの額を地元に負担を求めています)JRに負担を求めても、首を縦にはふらないでしょう。
すでに、宇都宮駅の南北で立体化してあるので国からの補助も見込めないと思います。

6.列車の安全運行を確保
費用の問題以上に重要なのが、工事期間中の列車の安全運行を確保するということです。
宇都宮駅の大改造のためだけに、新幹線や在来線を工事期間中運休させるわけにはいきませんから、新幹線や在来線が運行している状態での工事となるので、工事期間も長くなります。
工事期間が長くなると、景気の変動によっては、人件費や材料費が当初よりも大幅に増加する可能性もあります。

新幹線が宇都宮駅を通過する速度も、安全確保のため、現行よりも遅くする必要が出た場合は、新幹線の時刻改正も必要になります。
場合によっては、その費用(各駅の時刻表の交換やプログラムの書き換え)の負担も求められるかもしれません。

以上のように、この方法で東西大通りを連結するとなると、LRTはおろか、地方の空港を作れるくらいの費用になるのでは。
LRT以上に、負の遺産となるのは間違いないでしょう。
実際に行うとしたら、伊勢崎の観覧車並に全国から批判が来ると思います。

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