【報道】 地震の場合、非常口が開かない場合も 電気錠

下野新聞サイトより

『地震、開かぬ非常口も 宇都宮美術館など 火災とは連動、電気錠裏目』
(6月16日 05:00)

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写真提供について 防犯、防災両面から建物の避難用扉に電気錠の普及が進むが、システムによっては地震に反応せず、内側から手動で解錠できない状態になることが、15日までに分かった。多くのシステムは火災警報機と連動。電気が遮断されると解錠するが、地震にはほとんどが連動していない。東日本大震災で宇都宮美術館(宇都宮市長岡町)では3カ所の非常扉が開かなかった。専門家からは「非常時に扉がすぐ開かないのは問題」と、システムの不備を指摘する声も挙がる。

 3月11日の大地震。宇都宮美術館の約30人の来場者は、職員らの誘導で入り口の扉などから外へ無事に逃げた。だが停電は発生せず、外へ通じる6カ所の非常口のうち、電気錠を使った3カ所の扉が閉まったままだった。

 同館担当者は「システム上は管理室で一斉解錠できるが、その余裕はなかった。火災で開く扉が地震で開かないのは混乱を招く」と、戸惑いを隠さない。

 電気錠システムを手掛ける宇都宮ロック(宇都宮市宝木町1丁目)によると、非常口の電気錠システムは、建物内から常時手動で開けられるタイプと、非常時以外、施錠されたままのタイプとに分かれる。同社は施錠されたままのタイプを老人保健施設や商業ビルに年10数件設置しているが、ほとんどが火災報知機とだけ連動する。

 地震も感知して解錠するタイプや、後付けも可能な感震装置もあるが、経費面などから設置する施設は少ない。

 県建築士会の岡田義治会長は「建築基準法は地震に対し、避難経路より建物の安全性を重視している。しかしいざという時、外への扉が開かないのは非常に問題。事例を検証する必要がある」と指摘。県建築課も「電気錠は防犯上、やむをえず使われていると思うが、建築基準法は開けっ放しが前提。地震で解錠されないのは好ましくない」と話している

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